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「ボーケイ・デザイン ウェッジをもっと知る」#9
ボブ・ボーケイがプレーヤーとともに作り上げてきた
ソールグラインドのバックボーン ①

ヘッドがもぐりやすいアプローチを容易にするサポート機能。
それがソールのバウンス!

ボーケイ・デザイン SM8ウェッジには、現在、F/S/D/K/M/Lという6つのソールグラインド(形状)がありますが、今回はそもそもなぜウェッジのソールに複数のパターンが生まれてきたのか。そのきっかけについてご紹介します。

その前にまず、ソールのグラインドとは何か。その基本について説明していきます。

ウェッジとアイアンの違い。それはソールの違いに集約されます。

①ソールに大きなバウンスがあるのがウェッジ、ないのがアイアン。
②ソール幅が広いのがウェッジ、狭いのがアイアン。

つまり、ソールに地面への「抵抗」があるかないかが、ウェッジとアイアンの大きな違いになってきます。ウェッジはシャフトが短く、ボールに対して鋭角にヘッドを入れてくるため、アイアンよりもヘッドが地面にもぐりやすくなってきます。バウンス角やワイドソールの役割は、ヘッドの地中へのもぐり過ぎを防ぎ、スムーズに飛球方向に振り抜いていくためのガイドであり、サポート機能なのです。

ライボードの上などでスイングするとソールの後部が当たる。これがバウンス効果であり、ソールの「抵抗」となる。

では、せっかくつけられたウェッジならではのサポート機能である、地面への「抵抗」を、どうして「グラインド(削る)」することになったのか。そのきっかけについて紹介したいと思います。

積極的にバウンス効果を使いたい!
そんな要望からグラインドが生まれた

ボーケイ・デザイン ウェッジの初期モデルに「260・04」というウェッジがあります。このウェッジのソールのトレーリングエッジ(ソール後方)を、あるPGAプレーヤーの要望を満たすためにボブ・ボーケイがツアー現場でグラインドしたのが、ボーケイ・デザイン ウェッジのソールグラインドの原点であると言われています。

ツアーグラインドソールの原点になった初代ボーケイデザインウェッジシリーズの『260・04』(写真左)と、トレーリングエッジを大きくグラインドした『VOKEY・60T』プロトタイプウェッジ(写真右)。

もともとプロ、上級者の間では自分のアプローチスタイルに合わせ、ソールを自分で削るセルフチューニングがされていました。現在のようにクラブメーカーがツアーバンで作業するサービスを行っていなかったため、プレーヤーそれぞれがアスファルトの上で素振りをするなどして、ソールを削ることも珍しくなかったようです。

また、長く同じウェッジを愛用することで、プレーする中で自然にアプローチスタイルに適したソールに削れていく(育つ)のを待つプレーヤーも多くいました。しかし、この方法ではソールがいい感じに削れてきた時には、フェースの溝が磨耗し、適正なスピン性能が得られなくなっている。そんなジレンマも生まれていました。

ボブ・ボーケイは、従来ならばプレーヤー自身の手(プレ―)によってカスタムされていたソールグラインドをツアーバンの中で行うというサービスを始め、大きな注目を集めるようになったのです。

さて、話を戻します。「260・04」ウェッジを使用していたあるPGAプレーヤーが「もう少しソールの抵抗を抑えたい」とボーケイに相談しました。そこでボーケイはトレーリングエッジをセンターからトゥ、ヒールに大きく削り、そのニーズを叶えてみせました。

それがTグラインドと呼ばれるソールデザインです。Tとは、そのグラインドを希望したプレーヤーの名前の頭文字からきています。

「260・04」ウェッジは、ソール幅の広い地面抵抗の大きなモデルですが、そのPGAプレーヤーはフェースを開くアプローチをすることも多く、その際にソールの地面抵抗が大きくなり過ぎる、と指摘していたのです。

このようにフェースを開くと、ソールのトレーリングエッジは地面方向に突き出し抵抗が増します。「フェースを開く」とは、バウンス効果を自ら高めるという意味。バウンスを積極的に使うテクニックなのです。

スクエアの状態(写真左)からフェースを開く(写真右)とトレーリングエッジが迫り出し、地面抵抗が増大する。

バウンスがいらないから削り落とすのではなく「状況に応じてフェースを開くなどして、自分でバウンス効果を調節したい。だから、そもそものバウンス効果は抑えておきたい」。それがソールのトレーリングエッジをグラインドした始まりだったのです。

未使用のウェッジヘッドをあらかじめグラインドし、プレーヤーのアプローチスタイルに合わせて供給することで、溝をフレッシュな状態でスムーズなソールリアクションを手に入れることができるようになりました。

そして、このサービスは評判を呼び、ツアーバンデザインのソールグラインドは、「T」、「E」、「L」、「P」とそのバリエーションを増やしていきました。もちろん、それぞれに共にテストして作り上げたトッププレーヤーがおり、特有のニーズ(アプローチスタイル)がありました。

それから20年近くが経過。ボーケイデザインウェッジのソールグラインドは、F/S/D/K/M/Lという6つのソールグラインドに集約されてきました。膨大な数のプレーヤーがテストを重ね、この基本バリエーションが確立されたのです。

今では、この6つのソールバリエーションで世界のツアーで戦うプレーヤーの8割以上をカバー。それぞれのプレーヤーが正しくウェッジのバウンス効果を享受することで、ショートゲームを成功させています。

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