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What’s in the Bag?/全米プロの優勝セッティング
ジャスティン・トーマスを2度目のメジャー優勝に導いた
プロV1xと14本のタイトリスト ゴルフクラブ

ジャスティン・トーマスとウィル・ザラトリス。2人のタイトリスト ブランドアンバサダーによるプレーオフで締め括られた「第104回全米プロゴルフ選手権」。今回は、7打差逆転の大会記録でメジャー2勝目を獲得したジャスティン・トーマスのギアセッティングについて、詳しく紹介していきます。

GOLF BALL/プロV1x

ジャスティン・トーマスは、タイトリスト ゴルフボール研究開発チームのツアーコンサルタント フォーディ・ピッツとのボールテストを行ったあと、2020年12月の「マヤコバゴルフクラシック」から、現在のプロV1x(21年モデル)にスイッチしています。テストに立ち会ったピッツは、トーマスが最新のプロV1xに変えた日のことを鮮明に覚えています。

「ジャスティンが2020-2021シーズンに臨むにあたって挙げていた改善点は、ロングアイアン(4番)でもっとボールを高く打ち出し、ツアーで主流となっている硬く締まったグリーンへの着地角度(落下角)を大きくすることでした」(ピッツ)

「新しいプロV1xのテストを開始するとすぐ、一貫して高いウィンドウを通過し、必要なキャリーが得られることがわかりました。また、その日は非常に風の強い日でしたが、ジャスティンは新しいプロV1xが突風の中でも極めて安定した弾道を描くのを確認し、本当に嬉しそうでした」(ピッツ)

トーマス本人もこの時のことを次のように話しています。

「ロングアイアンで硬いグリーンでしっかり止めることができる。新しいプロV1xは私のために作られたのではないかと思いました。私にとってゴルフボールは意図した通りの弾道を描いてくれるものでなければなりません。インパクトして飛んでいくボールを見た時にそれがイメージした“ウィンドウ”の中に入っていなければならないのです。そしてイメージ通りに飛び、イメージしたようにグリーンで止まってくれる。非常に高い理想ですが彼ら(ゴルフボール研究開発チーム)は、どういうわけかそんな理想のゴルフボールを作ってしまったのです」(トーマス)

「打ち出し角が高くなる新しいプロV1xを使うことによって、自分自身の課題を改善できる、そう感じました。ボールを止めることが困難なグリーンが硬いコースや、ロングアイアンのショットでも、最新のプロV1xならイメージ通りにしっかりと止まってくれることを実感したのです」(トーマス)

最新のプロV1xにスイッチしロングアイアンの精度が増したことで、トーマスは2021年の準メジャー「ザ・プレーヤーズ選手権」で優勝を果たします。そして2022年も全米プロまでに9試合に出場し、ベスト10フィニッシュが6回と調子を上げ、ついにメジャー第2戦の全米プロで優勝を果たしたのです。

DRIVER/TSi3

ジャスティン・トーマスの大逆転優勝の背景には、タイトリストTSi3ドライバーから放たれる正確なロングドライブがありました。TSi3は全米プロにおける使用率No.1ドライバーであると同時に、PGAツアーで最も使用されているモデルです。

2020-2021シーズンをTSi2でプレーしたトーマスは、オフの間に現在使用するTSi3ドライバー(ロフト10°/ディアマナZF 60 TX)にスイッチし、「セントリートーナメントオブチャンピオンズ」で2022年をスタートさせました。

「ジャスティンと彼のお父さん(タイトリストのスタッフプレーヤーでもあるマイク・トーマス)は、常にスイングを磨き続けているので、私たちも定期的にドライバーをチェックして、彼が必要とするすべてのショットに対処できているかを確認するようにしています」と、タイトリストのプレーヤープロモーションディレクター、ヴァンヴェゼンヴィークは語ります。

「TSi3のテストでわかったことは、SureFitホーゼルをD•1設定(-0.75度のロフト、標準のライ)にすることで最適な弾道高さを実現できるということでした。彼が全米プロの最終日に見せたドライバーの弾道は、強く振った時でもスピンコントロールされた完璧なものでした」(ヴァンヴェゼンヴィーク)

トーマスは全米プロにおいて、Strokes Gained:Off the Tee(+2.629)で17位。最終ラウンドでは同カテゴリーで7位にランクインしており、この一週間で最も安定したドライバーショットが大逆転優勝への布石となったことを証明しています。

IRONS/T100 (#4)& 621.JTプロト(#5-9)

ジャスティン・トーマスのアイアンセットは、T100 の4番アイアンと彼専用にカスタムされたプロトタイプのマッスルバック(621.JT)のコンビネーションで構成されています。

「プロトモデルは、タイトリストゴルフクラブの研究開発チームがジャスティンと共同で開発しているもので、フェースの形状、ソールデザイン、重心設定など、将来のタイトリストアイアンの開発につながる可能性のあるいくつかの重要な要素が詰まったモデルです。そして、彼が最も信頼し長く使用しているのが、T100の4番アイアンです。彼はT100の理想的な弾道高さと初速性能の進化に惚れ込み、昨シーズンからこれ使用しているのです。とくにボールを上げにくいライからでも高弾道が打ちやすく、しっかりボールを止めることができる。課題としていた4番アイアンでのパーオン率をT100に変えることで高めることができたのです」(ヴァンヴェゼンヴィーク)

トーマス自身も現在のコンビネーションアイアンセッティングについて、次のように語っています。

「明らかに私はこのセッティングが大好きです。アドレスした時の見た目、打感、(インパクトエリアでの)地面にコンタクトした時の抜けの良さが気に入っているのです」(トーマス)

NEW T100アイアンはフェースプロファイル、サイズを620MB/CBと一致させることでコンビネーションしやすくなっているのが大きな進化ポイントです。今週のサザンヒルズでトーマスは、パーオン率カテゴリーで2位タイ(69.44%)となり、精度の高いアイアンが終盤のバーディチャンスを生む原動力になっていました。

WEDGES/SM9

ジャスティン・トーマスは、全米プロゴルフ選手権で4本のボーケイ・デザインSM9ウェッジとともにプレーしました。彼は46.10F(@ 47.5°)、52.12F(@ 52.5°)、56.14F(@ 57°)、WedgeWorks 60.06Kグラインドを駆使して、サザンヒルズを攻略したのです。※@は調整されたロフト角です。

トーマスは全米プロでの125〜150ヤードのアプローチにおいて、カップまで平均14フィートに寄せていました。これはフィールド全体で2番目に優れている数字であり、平均よりも約12フィートも優れたパフォーマンスでした。トーマスはSM9を初めてテストした時、次のようにコメントしています。

「SM9は従来よりも弾道を低めにコントロールできるのがいいと思います。ウェッジショットは思い通りのキャリーで飛ばしながら、スピンをコントロールしなければなりません。イメージしたウィンドウにボールが通過していかなければならないのです。私はアプローチにおいて弾道を低くも高くもコントロールしますが、とくに低めのアプローチは重要です。しっかり振ってもイメージよりも高く上がり過ぎないことがとても大切なのです。SM9ならイメージ通りの弾道高さ、スピード、そしてスピンで望むエリアにボールを止めることができます」(トーマス)

ロブウェッジに関しては、トーマスはコースの状態に応じてウェッジワークス60.06Kモデルとウェッジワークス60Tモデルを使い分けていますが、今回は60.06Kを使用しました。その理由について、ボーケイ・デザインウェッジのツアー担当者アーロン・ディルは次のように述べています。

「60Tは硬く薄い芝や、バンカーに砂があまり入っていないコースの場合に使われることが多いですね。全米プロではグリーン周りに長めに残されたバミューダ芝があり対応しなければなりませんでしたし、バンカーがコース攻略のポイントになることもわかっていました。火曜日にジャスティンとカートでコースを視察した時に、サザンヒルズにはKグラインドの方が合っているねということになったのです」(ディル)

「Kグラインドはワイドソールで、他のどのモデルよりも砂や地面の上を滑ってくれるソールタイプです。リーディングエッジが地面に近い位置でコンタクトできるのでボールが沈みやすい芝質にも向いています。そして、Kグラインドが本当に強さを発揮するのは、バンカーショットです。ワイドソールになっていることで、フェースの開き加減で自然にバウンス効果をコントロールすることができるからです。トッププレーヤーにとってもやさしさを実感できるソールタイプであり、難しいコンディションでもボールをイメージ通りに上げ、スピンをかけることができる。それがKグラインドです」(ディル)

PUTTER/PHANTOM X

ジャスティン・トーマスは、NEWスコッティ・キャメロン「PHANTOM X 5」パターのツアープロトタイプにスイッチしてわずか2週目で2度目のメジャータイトルを手にしています。

先週の「AT&Tバイロンネルソン」で初めてPHANTOM X 5 プロトタイプ(ナックルネック)を使用したトーマスは、この新しいマレットパターで臨んだ全米プロでフィールド平均を6ストローク以上(+6.313)引き離す見事なパッティングを披露したのです。

「PHANTOM X 5 プロトタイプ(ナックルネック)は、それまでにジャスティンが愛用していたFutura X 5.5のプロトタイプに比べて、トゥ・フローが少なくなっています」と、スコッティ・キャメロン ツアー担当のドリュー・ペイジは言います。

「ジャスティンはずっとニューポート2を使用していたのですが、ここ最近は同じような見た目、打感でマレットの安定感を発揮するモデルを求めています」トーマスは昨年の全英オープンでも今回同様のパターでプレーし、そこで得たフィードバックに基づいて、彼の愛用するFutura X 5.5に近い打感のプロトタイプを作り上げたと言います。

「研究開発チームはキャビティ裏にアルミニウムプレートを追加しました。これにより、それまであったこもった音が消え、ソリッドで高音が心地よい打感を生み出すことができたのです。ジャスティンはこのパターの打感、打音をとても気に入ってくれています」(ペイジ)

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